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健康保険や介護制度をFPに相談60歳未満の両親と次女が、入社2年目の長女の健康保険の扶養に入れますか?

55歳の夫が6月で早期退職します。パートの私と大学生の次女の扶養がなくなります。国民健康保険の支払いが高額と聞きました。私たち夫婦と次女は、社会人2年目の長女の扶養に入れますか? それとも、夫の会社の保険に2年間、任意継続で入ったほうがいいのでしょうか? 任意継続被保険者になった場合、ひと月に支払う健康保険料はどれくらいですか?

また妻が夫の扶養からはずれたら、今年から103万円の制限なく働けますか?夫は失業保険をもらうつもりです。その間、夫にもアルバイトでもしてもらいたいのですが、大丈夫ですか?急なことで今後が不安です。

FPからの回答

ご主人が早期退職することとなり、家計に影響しそうな様々な変化がご心配になったのですね。ご質問を次のように整理して、順番にお答えしたいと思います。

  • ご夫婦と次女が、会社員2年目の長女の健康保険(以下、「健保」)の被扶養者になれるのか
  • 長女の被扶養者になれない場合、国民健康保険(以下、「国保」)と、夫の現在の健保の任意継続加入のどちらを選択するのがよいのか
  • 夫の扶養から外れたら、妻は年収制限なく、働くことができるのか
  • 夫が失業給付をもらっている間に、(夫は)アルバイトはできるのか

両親、兄弟姉妹の場合は、年収要件を満たせば、人数に関係なく被扶養者になれま

まず、1についてですが、被扶養者になるかどうかは、被保険者(今回は会社員の長女)の年齢や入社年数に関係なく、被扶養者として定められた範囲の親族であることと、その収入が被扶養者に該当する年収要件の範囲かどうかによります。また、配偶者、子、孫および兄弟姉妹、父母、祖父母など直系尊属の場合は、被保険者と同居していなくてもよいのですが、それ以外の親族の場合は、同居していることも条件となります。

年収要件は、年間収入130万円未満(60歳以上又は障害者の場合は、年間収入180万円未満)かつ同居の場合、収入が扶養する人(被保険者)の収入の半分未満であることです。年収要件とは、過去における収入のことではなく、被扶養者に該当する時点及びそれ以降1年間の見込み収入額のことをいいます。また、被扶養者の収入には、雇用保険の失業給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金も含まれます。年収130万円未満ですから、月額では、108,333円を超えたり、雇用保険等の受給者の場合は、日額3,611円を超えると被扶養者には該当しません。

以上のことから今回の場合、ご主人は失業給付をもらう予定のようですから、日額が3,611円以上になるようでしたら、失業給付を受給中は、長女の被扶養者にはなれません。なお、被扶養者の範囲などは法律で決められていますが、被扶養者の認定に必要な確認書類などは健康保険組合によって若干違う場合もありますので、健康保険組合の窓口で確認して下さい。

健康保険の任意継続加入は、退職後20日以内に手続きをしないと加入できない

今回、夫が長女の被扶養者になれない場合は、国保に加入するか今までの健保の任意継続加入のどちらかを選択することになります。国保の保険料は、前年の所得と加入者数を基に算出されますから、退職して収入が無くなるにもかかわらず、高額な保険料となりがちです。

一方、任意継続加入の保険料も、在職中は保険料の半額を会社が負担してくれていますが、退職後の任意加入では、全額が自己負担になります。ただし在職中に払っていた保険料と、健保加入者全体の平均的保険料のどちらか低い方の額が適用されるので、在職中の保険料の2倍になるとは限りません。協会けんぽの場合は、標準報酬月額が28万円を超える場合は28万円の標準報酬月額により計算した保険料になります。

例えば、加入者の退職前標準報酬月額が50万だった場合、退職後の任意加入保険料は次のようになります。

保険料算出の基になる標準報酬月額 保険料の総額 自己負担分
在職中
(標準報酬月額 50万円)
57,800円 28,900円(半額)
退職後
(標準報酬月額28万円が適用になる)
32,368円 32,368円(全額)

国保と任意継続のどちらの方が安いのか確認しましょう。健保の保険料は定められた額で分りやすいですが、国保の保険料は収入や加入者数など様々な要素で決定されますので、個人が算出するのは難しいです。市区町村で教えてもらえますので問い合わせしてみて下さい。

ただ、どちらを選択するのかは、保険料だけの比較ではなく、健保によっては人間ドック受診の補助など付加給付がある場合もありますから、それも考慮する必要があります。

任意継続の加入手続き期限は、退職日の翌日から20日以内で、それを過ぎると加入できません。一旦国保に加入して、しばらくたってから任意継続に変更する、ということは日数的に無理と思いますので、とりあえずは、任意継続加入をしておくのも一つの方法かも知れません。

任意継続加入の場合は、妻と大学生の次女は被扶養者になり保険料はかかりません。なお、国保を選択した場合、夫だけ国保に加入して、妻と次女は長女の被扶養者になることも可能です。

健保の任意継続、国保とも、60歳になるまでは国民年金保険料の負担が生じます。

3について見てみましょう。夫の在職中も退職後に任意継続加入する場合も、被扶養者でいるための年収制限は同じです。夫の退職を機に妻がフルタイムで働くのであれば、妻は自分の会社の健保に加入することになりますから、任意継続の被扶養者にはなりません。健保に加入はできないが、収入が130万円を超えるなら、国保に加入することになります。

また、国保、任意継続どちらの場合もご夫婦とも、60歳までは国民年金保険料の支払いが生じます。夫が再就職して健保に加入し、妻が130万円未満の働き方でしたら、夫は厚生年金に加入しますので、妻は国民年金第3号被保険者となり、妻の国年の保険料はかかりません。

失業給付を受給中のアルバイトは、きちんとハローワークに報告しないと、不正受給とみなされ受給が終了します。

最後の4についてです。たしかに、失業給付の額だけでは心もとなく、できれば夫にアルバイトをしてもらいたいと思うのはよくわかります。しかし、フルに働いてしまうと就業とみなされ、失業給付は停止になります。

失業給付受給中にアルバイトは絶対禁止というわけではありませんが、認められる「一時的なアルバイト」は、1週間の労働時間が20時間未満、1週間の労働日数が3日以内などの条件の中での話です。求職中だから失業給付が受給できるわけで、フルで働けるのなら失業中ではないですね、ということです。

アルバイトをした場合は、ハローワークで失業の認定を受ける際に「失業認定報告書」に収入の内訳と勤務日数を記載して報告しなければなりません。キチンと報告書に記載しないと、不正受給とみなされ、以後の受給は出来なくなります。なお、アルバイトした分は、失業給付から減額されます。

(2017年5月 守屋 三枝)

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