健康保険や介護制度をFPに相談一人暮らしの親が、介護認定を受けました。高齢者施設を探す際、どのような点に留意して探したらよいでしょうか。

高齢者施設へ入居させることを、親不孝だと感じる方がいるかもしれませんが、プロの手で24時間の介護をしてもらうことは決して悪いことではないと思います。ただし、資金面で無理（＝子ども側が援助しないとならない施設を選ぶ）しますと、自分たちの生活にしわ寄せがいきます。「少しくらいなら援助しても良い」という気持ちで、援助をするお子さんもいますが、そのことが原因でお子さんの教育資金が足らず、奨学金のお世話になるご家庭もあります。高齢者施設の費用は、お母様の年金や貯蓄で賄うのを基本に、まかなえる施設を探すのに注力しましょう。

施設を探す際、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている施設を中心に探すことになるでしょう。施設の種類でいうと、「介護付有料老人ホーム」や「介護型ケアハウス」になります。特別養護老人ホームは、入居の基準が原則として要介護3以上になっていますので、今の時点で申し込むことはできません。

特定施設の指定を受けていると、介護保険からの費用は施設側が受け取れます。そして、利用者側は在宅介護で支払う公的介護保険の1割負担より安い自己負担額で、24時間365日の介護が受けられます。在宅で介護保険を利用するときよりも、介護の費用については固定化されます。

ところで、お母様の年金額ですと、介護型ケアハウスを探されるのがよろしいかと思います。介護型ケアハウスは、数が少ないため探すのが難しいですが、13万円以下の費用負担で入居できるところを探すのも可能です。ケアハウスの場合、部屋の広さは16～18平方メートル程度と狭いところが一般的で、介護型ケアハウスも同じくらいの広さになるでしょう。介護型ケアハウスであれば、要介護5まで住み続けることができます。

介護型ケアハウスに住んでいるあいだに要介護3以上の認定を受けたら、特別養護老人ホームの入居申請をおこなえます。対応の良い介護型ケアハウスが見つかったらそのまま入所を継続し、特別養護老人ホームへ住み替えたほうが良いと感じたら、特別養護老人ホームに入所できるまで待機するプランが現実的ではないでしょうか。

なお、特別養護老人ホームの月々の負担は、収入によって異なります。実際の入居者は、規定の金額よりも減免されているケースが多く、遺族年金を受給されているお母様も減免の対象になるはずです。特別養護老人ホームへ住み替えられれば、年金内でまかなえるので、金銭面での心配はなくなると思います。

以上のように、介護型ケアハウスから特別養護老人ホームへの住み替えが現実的だと思われますが、地域によっては13万円以下で介護付有料老人ホームに入居できるところもあります。お母様のお住まいが分かりませんが、お住まいの地域の価格帯が比較的廉価であれば、介護型ケアハウスを探すのと併せて、介護付有料老人ホームの見学に行くこともおすすめします。