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昨年、ふるさと納税をして、所得税と住民税が大幅に軽減されました。現在、医療費の窓口での負担が3割なのですが、1割に軽減される可能性はありますか?
ご質問にお答えする前に、まず「ふるさと納税」について確認しましょう。ふるさと納税は、自分が選んだ自治体に〝寄附〟をすると、一定額までは所得税と住民税が軽減される制度です。自治体によっては、寄附をしてくれた人に地域特産品などをお礼として送ってくれます。一定の金額までなら、実質負担2,000円で地方特産品がもらえるとして、人気があります。
減額される所得税、住民税は以下の金額となります。
たとえば、ふるさと納税の金額が30,000円の場合、所得税と住民税の合計で28,000円が軽減されるということになります。ただし「住民税の特例分」は、住民税の所得割額の2割が限度だという点に注意が必要です。それを超えると、税金の軽減メリットがなくなります。税が軽減されるのは、ふるさと納税をした年の所得で計算された金額となりますので、年収の変動が大きい人は、その年の収入を考慮しながら行う必要があります。
病院で診察や治療を受けた時に、窓口で支払う自己負担額は、70歳未満の人は3割です。75歳以上は、現役並みの所得がある人は3割ですが、それ以外は1割となっています。70歳から74歳にかけては、現役並みの所得がある人は3割で、それ以外の人は1割だったのが、平成26年4月以降に70歳になる人から2割に上がっています。
「現役並みの所得」であるかどうかは、健康保険に加入している人は「標準報酬月額」で、国民健康保険または後期高齢者医療制度に加入している人は「住民税の課税所得」で判定します。「標準報酬月額」では28万円以上(月額)、「住民税の課税所得」では145万円以上(年額)だと、現役並みの所得となります。
「標準報酬月額」は、勤務先の健康保険に加入している人が対象で、おおむね月収と考えてよいでしょう。「住民税の課税所得」は、その人の年収から公的年金等控除や扶養控除などを差し引いた後の、税金の計算の基準となる金額です。
ふるさと納税で、住民税の金額は少なくなります。「住民税の課税所得」に基づいて住民税額を計算し、その金額から減額するようになっています。つまり、実際の住民税額の金額は少なくなっていますが、医療費の自己負担を計算する「住民税の課税所得」は変わりません。よって、ふるさと納税で医療費の自己負担額が変わることはありません。
70歳以上で3割負担の人は、ふるさと納税で住民税額が少なくなっても、医療費の自己負担は3割のままとなります。
(2016年4月 村井 英一)
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