知識豊富なコンサルタントが、オリジナルの保険システムでお客さまの不安や疑問を、安心や納得へ変えていきます。
- 何度でも相談無料
- ぴったりな保険が選べる
- 保険の知識がなくてもOK!
- 一生涯の安心サポート
店舗相談の
予約をする
閉じる
年次有給休暇については今回のご質問以外にも多く寄せられます。年次有給休暇とは、働く人の心身の疲労を回復させ、ゆとりある生活を保障するために、労働義務のある日の労働を免除する(通常の賃金が支給される休暇)制度です。まず、年次有給休暇の原則①~④をご理解して頂き、各自の場合に照らして頂きたいと思います。
年次有給休暇を取得できる条件は、次の2点で、事業に雇用される労働者は正社員、パートなど名称に関わらず、すべて有給休暇を取得することができます。
フルタイム勤務者の場合、この要件を満たした労働者に、10労働日の年次有給休暇が付与されます。また、最初に年次有給休暇が付与された日から1年を経過した日に、上記(2)の要件(最初の年次有給休暇が付与されてから1年間の全労働日の8割以上出勤したこと)を満たせば、11労働日の年次有給休暇が付与されます。その後は同様に(2)の要件を満たすことにより、勤続年数ごとに次の表に示す日数が付与されます。つまり、勤続6ヶ月経過した日を基準日として、1年ごとに、その期間に8割以上勤務していれば規定日数が付与されることになります。
勤続年数 | 6ヶ月 | 1年6ヶ月 | 2年6ヶ月 | 3年6ヶ月 | 4年6ヶ月 | 5年6ヶ月 | 6年6ヶ月超 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
パートタイマーで、出勤日が少ない場合は、出勤日数に比例して付与されます。
パート勤務で週所定勤務日数が少ない場合や、月の前半だけ勤務などのように1年間の所定労働日数が少ない場合は、その勤務日数に比例して有給休暇が付与されます。比例付与の日数は次の表のとおりです。なお、勤務日数だけが判断基準で1日の労働時間数は問われません。
週所定 労働日数 |
1年間所定 労働日数 |
勤続年数 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
6ヶ月 | 1年 6ヶ月 |
2年 6ヶ月 |
3年 6ヶ月 |
4年 6ヶ月 |
5年 6ヶ月 |
6年 6ヶ月超 |
||
5日以上 | 217日以上 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
4日 | 169~216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
3日 | 121~168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
2日 | 73~120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
1日 | 48~72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
有給休暇の賃金は、平均賃金、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又は健康保険法による標準報酬日額に相当する金額のうち、就業規則その他これに準ずるもの又は労使協定(標準報酬日額の場合)で選択したものを支払うべきこととされています。
「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」で支払われる場合、月給者なら有給休暇を取得した月も通常と変わらない月給額になり、パート勤務者で、例えば時給1,000円、1日4時間労働している人の有給休暇の賃金は、4,000円になります。
有給休暇の消滅時効は2年なので、当年に取得しなかった有給休暇は、翌年まで繰り越すことができますが、2年を過ぎると消滅します。例えば、勤続6年半を超えた人が、前年分10日を残余している場合、当年は30日の有給休暇を取得することができます。
年次有給休暇は、労働者が心身の疲労を回復し、ゆとりある生活を送るために事業主が「与えなければならない」休暇ですので、原則は、はじめから買い上げの予約などをすることは、有給休暇の取得を妨げるとして違法になるのでできません。しかし、退職で権利が消滅してしまう場合は、残存休暇の買い上げ(金銭で給付)は法令に違反しないとの解釈がなされています。ただ、会社にも買い上げ義務はないので、買い上げを認めていない会社もあり、対応はさまざまのようです。
以上から、ご質問1.は、
パートでも年次有給休暇の取得ができます。ご相談内容は、入社して8年、週5日~6日勤務ということですから、昨年の勤務日数が8割を超えていれば、今年は20日の有給休暇を取得でき、前々年の勤務日数が8割を超えていれば、さらに前年分20日を繰り越すことができます。しかし、それ以前の分は消滅しています。また、「社員は残余有給休暇を買い取ってもらっている」とのことですが、④で示したように、買い取ってもらう、つまりお金をもらうことが目的で、結果、有給休暇取得の抑制につながると考えられ、原則、認められていません。
ご質問2.についてです。
労働者が残余有給休暇を消化してから退職をしたいと申し入れ、残余有給休暇を消化し切った日が退職日になっている例はよくあります。ご質問2.はこの場合になりますね。会社が、ご病気で退職するとの申し出に対して、有給休暇の残余分45日を消化できるように、「在職しているが、有給休暇の取得中」という形にしてくれたわけです。しかし、有給休暇は、「勤労義務のある日の労働を免除する」制度ですので、死亡した時点で、在職者ではなくなり、残余有給休暇は消滅したことになります。したがって、死亡日から予定されていた退職日までの有給休暇分の支払いはないと考えます。
(2016年2月 守屋 三枝)
知識豊富なコンサルタントが、オリジナルの保険システムでお客さまの不安や疑問を、安心や納得へ変えていきます。
営業時間 9:00~19:00