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生命保険や損害保険をFPに相談生命保険は、配当がない方がよいのでしょうか?

生命保険のパンフレットを見ていると、「5年ごと利差配当付き」というものや、「無配当」と書いてあるものがあります。配当がないよりはあるほうがお得かと思ったのですが、先日、「無配当」の方が得だという記事を見かけました。実際のところ、配当があるのと、ないのとでは、どちらが有利なのでしょうか。

FPからの回答

配当は、見込み額との「差益」を契約者に還元する性格のお金です

生命保険は、多くの加入者から保険料を集め、集めた保険料は運用に回します。運用の成果による収益も得られます。保険料を運用にまわすいっぽうで、死亡や病気などの場合に保険金(給付金)を支払います。また、保険商品を販売するためのコストや事務管理費など、さまざまな経費も掛かっています。

運用によって得られる収入がある反面、保険金や給付金の支払いや経費などの支出によって必要となる保険料が変わってきます。とはいえ、どれくらいの収入があって、どのくらいの支出が発生するかは、保険料を決める時点ではわかりません。そこで、ある程度の見込みで保険料を設定しています。その後、1年間の事業年度が終了した時点で、実際の支出が見込みより小さく、運用による収入が多い場合には、「配当」という形で保険料を払っている契約者に還元します。

見込みよりも状況が良く、「差益」が出たら、保険契約者に配当として還元するのが「配当付き」タイプの保険商品です。差益が出たら、後からお返しすればよいので、ある程度の余裕をもって高めに保険料を設定しても、契約者には不利益とはなりません。差益がなければ配当を出さなければよいだけですので、保険会社も持ち出しで払う必要はありません。

とはいっても、同じような保障内容であれば、保険料は安い方が加入者は集まります。保険会社間の競争もあり、あまり高い水準に保険料を設定するのは難しいのが現実です。余裕部分をあまり見込まずに保険料を安くする代わりに、差益が出ても配当を出さないという「無配当」タイプの保険商品が増えてきました。また、資産運用は変動が大きいので、この部分についてだけは成果を還元するという「利差配当付き」の商品も多くあります。

配当は、毎年実施するものもあれば、3年ごと、5年ごとなどがあります。もちろん、「差益」が出なければ配当は見送られます。

今後の資産の運用状況によって有利不利が決まります

一般的に、「配当付き」の保険商品の方が、「無配当」のものよりも保険料が高い傾向があります。そのため、保険料が安いことを売りにしている保険会社では、「無配当」のものが多くなっています。また、定期保険や医療保険などの保障機能が重視されている商品では「無配当」が多くなります。一方、学資保険や個人年金保険のように、貯蓄機能を重視している商品は、「利差配当付き」を含め、「配当付き」が多い傾向があります。

では、同じような商品で「配当付き」と「無配当」がある場合は、どちらを選ぶのが得なのでしょうか?

「無配当」の商品は、今後状況が良くなっても配当による還元はありませんが、もともとの保険料が安いのが魅力です。一方、「配当付き」は、状況が良くなったら「配当」で還元されます。今後の状況が今よりも良くなると考えるなら、魅力的です。

事業の経費はすでに無駄を省いてきていますので、各社ともぎりぎりまで切り詰めていることでしょう。死亡保険金の支払いについては、健康状態の診査や告知を経て、加入するのが基本なので、多少の余裕があるとはいえ、一番影響が大きいのは、資産運用の成果になります。

生命保険会社は、集めた保険金をさまざまな資産で運用しています。貸付もありますが、多くは有価証券での運用です。生命保険協会の調べでは、加盟43社の合計で見ると、平成26年3月末の保有有価証券のうち、半分強の52.6%が国債となっています。それに社債なども含めた国内の債券が66.2%となっている一方、日本の株式は6.3%です。外国の国債や社債、株式などの外国証券は21.6%となっています。(生命保険協会「生命保険事業概況」平成25年度有価証券明細表より)

このデータからは、今後金利水準が上昇した場合に運用による成果の改善が見込めますが、株式相場の上昇による影響は少ないと考えられます。ただ、保有資産の状況は、保険会社によって大きく異なり、その影響も違ってきます。実際、株式相場の上昇と円安による外国証券の上昇で、配当を増やすことを表明している保険会社もあります。どのような資産で運用しているかは、公表されていますので、比較検討することができます。

もっとも、運用が良かったからといって、そのすべてを契約者への配当に回すわけではありません。配当をどうするかは、保険会社の裁量による部分も少なくありません。そのため、配当に期待するよりも、もともとの保険料が安い「無配当」の方が得だという意見もあります。

配当は、〝これからの成果〟で決まるものですので、どちらが得かは、後になってみないとわかりません。配当のあるなしだけで選ぶのではなく、保障内容がご家族のリスクにあっているかなども含め、さまざまな観点から比較検討されるとよいでしょう。

(2015年5月 村井 英一)

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